令和6年8月11日(日)に門中交流事業として、夏休み親子レクリエーションを実施しました。昨年度の「紅型」体験が大変好評でしたので、今年の親子レクも伝統工芸体験とし、那覇市首里山川町にある「首里琉染」の工房にて「サンゴ染め」を体験してきました。
首里琉染は染織作家の山岡古都(やまおかこと)氏が紅型の復興と染色技術の発展・伝承を目的に創立した工房で、琉球王国時代の王都首里の第一坊門であった「中山門」跡地という由緒ある場所に建っています。建物自体は飛騨高山から移築した合掌造りの古民家で、沖縄ではめずらしい切妻屋根と格子窓が首里の街並みに自然とマッチしています。1階は展示場とショップ、2階が体験工房、3階が職人工房となっています。
サンゴ染めとは、化石になったサンゴの断面を土台に、その上に生地を載せ、染料を使い拓本を取る染技法です。サンゴには満月の夜にたくさん産卵することから「子孫繁栄」、そして長い年月をかけて成長することから「長寿」の意味合いがあるとのことです。
改装中の「首里琉染」と工房内部
今回の親子レクには、子供8名、保護者7名の計15名、5家族が参加しました。
サンゴ染め体験の所要時間は約50分で、Tシャツ、トートバック、ふろしき、手ぬぐいから好みのアイテムを選び染めていきます。大小さまざまなサンゴの化石からデザインを組み合わせ、タンポと呼ばれる染道具に赤・青・黄・紫の4色の染料を含ませて、生地をこすりながら染め上げていきます。用いられる染料は、木の皮や実、草の根などをたたき出して作ったオリジナルの植物染料です。
黄+青=緑、黄+紫=茶など、色を混ぜ合わせることでたくさんの色合いを出すことができます。
「サンゴ染め」に用いた染料・染料材料・混色見本・スタンプ・サンゴ台
工房スタッフの丁寧な説明の後、いよいよ染め体験がスタートです。
染料を2、3滴パレットに垂らし、好みの色をつくりあげたらタンポに染料を含ませていきます。そして、このタンポをサンゴの土台にセッティングした生地に擦り付けると綺麗なサンゴ模様が生地にくっきり浮かび上がってきます。
一度始まれば、子供も大人も皆真剣です。真っ白な生地に己の美的感性で染め上げていく作業に全員が夢中になっています。大きなサンゴを使って大胆に中央から色付けしていく者、端から小さく丁寧に色付けしていく者、多くの色のグラデーションで色付けをしていく者など、まさに十人十色といった情景です。
思案中の「サンゴ染め体験」の皆さん
あっという間に約50分の体験作業が終わり作品の完成です。工房スタッフの上手な指導もあり、皆素晴らしい出来栄えです。工房内で親子の作品を比べながら記念撮影してサンゴ染め体験を終了しました。作品は持ち帰り、あて布の上からアイロンをかけると染料が定着して完全に仕上がります。夏休みの自由研究の宿題として学校に提出した後に、梁氏美術展に出展してもらえたら幸いです。
サンゴ染め体験後は、3階の職人工房を見学させていただきました。工房スタッフには、体験の受付から染め指導、工房見学と丁寧に対応していただき、とても感謝しています。
参加家族のいろいろな素材を使った「サンゴ染め」作品(大変良くできました)
楽しくサンゴ染めを体験した後は、近くのイタリアンレストランでランチをいただきました。那覇の街並みを一望できるテラス席を貸し切り、門中一同でランチ会です。美味しいパスタ料理と綺麗な景色も相まって、子供同士、保護者同士で楽しく会話が盛り上がり、あっという間にランチタイムは終了しました。
これをもって今年の親子レクリエーションは終了し、各自解散しました。参加者からは大変ご好評をいただきましたので、来年の親子レクリエーションについても、内容を吟味してまいりたいと考えています。
親子レク終了後の楽しいランチタイムの一コマ
文 崎山春樹